脱炭素経営に取り組もう!メリットと4つの実践ステップを解説
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脱炭素経営は、規制対応にとどまらず、企業の持続的成長と競争力を左右する重要な経営課題です。特にグローバルに展開する企業や製造業においては、多様な環境規制への対応に加え、競争優位性の確立を目的として、脱炭素やカーボンニュートラルへの取り組みを求められる場面が増えています。本記事では、なぜ今、経営として脱炭素に取り組む必要があるのかを整理した上で、脱炭素経営がもたらす経営的なメリットと、実践に向けた考え方を解説いたします。
脱炭素経営に取り組む必要性
近年、企業を取り巻く外部環境は大きく変化しています。エネルギー価格の高騰や供給不安、地政学リスクの顕在化により、電力をはじめとするエネルギーは、「安定的に確保できて当たり前の経営資源」ではなくなりました。こうした環境下において、エネルギー使用量を把握・管理できていない状態では、経営上の不確実性を高める要因となります。
加えて、規制や開示制度、市場動向も脱炭素を軸に大きく変化し続けています。CO2排出量の把握や開示、サプライチェーン全体での削減要請は、特定の業種や企業規模に限った話ではなく、多くの企業に共通する経営課題となりつつあります。今後、取引先からの要請や投資家・金融機関による評価基準の高度化が進むと、脱炭素への対応は、より一層重要性を増していくでしょう。
脱炭素経営に取り組むにあたって、経営層として認識しておくべき重要な観点は二つあります。一つは、「脱炭素に取り組まないこと自体がリスクになりつつある」という点です。コスト増加による利益圧迫、取引機会の喪失、企業評価への影響など、対応の遅れは中長期的な経営リスクにつながります。
もう一つは、「先行して取り組み、経営に活用することでメリットを享受できる」という点です。脱炭素の取り組みを社内外に適切に発信すれば、企業ブランディングや製品の差別化、新規取引の獲得など、経営上の機会を広げることが可能になります。
このように脱炭素経営は、環境対応にとどまらず、リスク管理と成長機会の創出を両立させるための重要な経営戦略として位置づけられます。
脱炭素に取り組む経営的なメリット
脱炭素経営は、義務的な規制対応ではなく、適切に設計・実行することで、経営面でも様々なメリットをもたらします。
コスト削減・コスト構造の最適化
エネルギー使用量やCO2排出量を可視化することで、これまで見過ごされてきたムダや非効率な箇所が明確になります。把握した課題に対して、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用を進めることで、光熱費・燃料費の低減が期待できます。さらに、廃棄物削減による廃棄コストの抑制や、原材料の見直しによる調達コストの最適化といった効果も見込まれます。
こうした省エネや運用改善の取り組みは、短期的なコストメリットだけにとどまらず、中長期的なエネルギー価格変動への耐性を高めることにつながります。
資金調達機会の増加
脱炭素への取り組みは、ESG評価や資本コストに影響を与える要素の一つとなっています。例えば、金融機関から有利な条件での融資や投資の機会獲得や、国や自治体の環境関連の補助金・助成金の獲得など、設備投資や新規事業を推進しやすくなるメリットがあります。
事業競争力やブランディングの強化
低炭素な製品・サービスは、顧客や取引先にとって重要な選定基準になりつつあります。脱炭素を前提にした設計に先行着手することで、将来の市場変化に対して、他社との差別化や競争優位性を生み出します。
さらに、メディア露出や環境認証取得等に取り組むことにより、自社及び自社製品の認知度向上やブランディングにつながります。そして、新規顧客の獲得や既存取引先との関係性強化が期待できます。
人材獲得や人材戦略への活用
脱炭素への取り組みは、「社会課題の解決に取り組んでいる会社」として社内外で評価されます。取り組み内容を社内外に発信することで、社員のエンゲージメント向上や、サステナビリティに関心の高い次世代人材の採用力強化につながります。
このように、脱炭素経営に取り組めばコストや企業・製品価値、人材など複数の経営課題に対して横断的に影響する経営施策と捉えることができます。
脱炭素経営に取り組むための4つの実践ステップ
脱炭素経営の取り組み方として、基本となるのは「知る・測る・減らす」の3ステップと言えます。そして、その先に取り組みの成果を企業価値へと転換する「活用する」というプラス1のステップがあります。
重要なポイントは、自社の現在地を正しく認識した上で、経営戦略と整合した形で脱炭素の取り組みを推進することです。
知る ― 外部環境と自社への影響を構造的に理解する
最初のステップは、脱炭素を取り巻く外部環境が自社経営に与える影響を正しく理解することです。
規制・制度動向、業界トレンド、主要取引先や顧客の方針、投資家・金融機関の評価軸などを整理します。そして、脱炭素が自社にとってどのようなリスクであり、同時にどのような機会となり得るのかを把握します。CO2排出量に関わる規制は、特に欧州の機関が中心となり活発に動いているため、グローバルの視点で情報収集をすることが重要です。
測る ― 自社の排出量データを把握し、経営判断に活用する
次に取り組むべきは、自社のCO2排出量の把握です。CO2排出量の算定指標としてはScope1,2,3や製品CFPなどがあり、算定目的や用途に応じて、各種エネルギー使用量等を集約して排出量を算定します。
排出量を算定する際には、数値を算定すること自体を目的とすると効果的に活用できません。事業、拠点、工程といった切り口で排出量の内訳を整理・分析するなど、どの領域が経営上の判断材料となるのかを把握することが本質となります。
データ収集や分析・可視化をするためにBIツールなどを活用した情報基盤を整えてみましょう。将来的なコスト増加リスクや削減余地が把握しやすくなり、迅速な意思決定が可能になります。
減らす ― 経営合理性に基づき削減施策を実行する
CO2排出量を把握した後は、削減の取り組みを推進します。削減の取り組みで重要なのは、すべてを一律に削減しようとするのではなく、投資対効果、事業影響、中長期戦略との整合性を踏まえて優先順位を付けることです。
運用改善による低コストで即効性のある施策から、中長期的な設備投資・エネルギー転換まで、選択肢は多岐にわたります。脱炭素経営では、短期的なコスト削減と中長期的な競争力強化のバランスを取りながら、経営判断を下す経営層と実行する現場が連携して取り組むことが重要です。
活用する ― 脱炭素を企業価値へと転換する
最後のステップが、脱炭素の取り組みを「活用する」段階です。算定や削減の取り組みだけでは経営的なメリットを十分に享受できていません。その成果を社内外に適切に発信することで、脱炭素の取り組みをさらに大きな企業価値へと変換できます。
具体的には、情報開示やIR、営業活動、採用活動などへの活用が挙げられます。脱炭素への取り組みを明確なメッセージとして示すことで、取引先や投資家からの評価向上、人材獲得力の強化につながります。また、各種補助金や投融資策においても、排出量の把握や削減効果算定が要件に含まれることも増えており、資金調達の面でも選択肢を広げる要素にもなります。
まとめ
脱炭素経営は、企業の持続的成長と経営の質が問われる中で、重要性を増している経営テーマの一つです。
早期に着手する企業ほど、選択肢と自由度を持って取り組みを展開できる一方で、対応が後手に回るほど、対応するためのコストや時間的制約は大きくなります。そのため、まずは現状を知り、小さな取り組みからでも着手するなど、経営戦略に脱炭素を組み込むことが重要です。
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