サーキュラーエコノミー 既存ビジネスモデルとの違いや生み出し方

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2015年にEUがサーキュラーエコノミー政策パッケージを公表したことを契機に、世界的にサーキュラーエコノミーという言葉が普及しました。現在、多くの国や企業にて循環型経済の実現に向けた試行錯誤が行われています。

本記事では、そもそもサーキュラーエコノミーという概念はどのようなものなのか、従来のビジネスモデルや3R等の取り組み[ME1] とはどのような違いがあるのか、カーボンニュートラルとはどのような関係にあるのかに触れていきます。そして、日本における現状と課題は何か、ビジネスモデルを創り出す[t2] にはどのように進めると良いのか、といったサーキュラーエコノミーの様々な疑問に対して解説いたします。

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーとは日本語で循環型経済と訳される通り、経済システムを指す言葉です。

一方で、従来のビジネスモデルはリニアエコノミーと呼ばれるものが一般的です。リニアエコノミーとは製品を生産するために資源を採取し、製品利用後には基本的に廃棄物となる、一方通行で資源が流れる経済システムでした。

従来型のビジネスモデルを進めた結果、現在、資源枯渇や環境汚染などの社会問題が生じています。このような社会問題への対策として進められているのが、サーキュラーエコノミーと呼ばれる資源リサイクルや再利用を前提とする資源循環型の経済システムです。

では、以前より進められていた3R活動とは何が異なるのでしょうか。従来の3R活動とは、「廃棄される資源量を低減すること」や「本来廃棄されるはずだった資源を再利用すること」と言ったように、廃棄が生じることを前提にしていました。つまり、従来のリニアエコノミーの範疇における改善であることが一般的です。

一方で、サーキュラーエコノミーでは製品設計段階から廃棄物が最低限量になるようにデザインしていく新しいビジネスモデルを指します。つまり、3Rなどこれまでの要素は含みつつも、似て非なる経済システムと言えます。

サーキュラーエコノミーダイアグラム
出典:エレンマッカーサー財団「サーキュラーエコノミーシステムダイアグラム」を基に電通総研作成

カーボンニュートラルとの関係

気候変動対策として、カーボンニュートラル実現に向けた活動もまた、国や企業で推進されています。サーキュラーエコノミーは単に資源循環に関するものであり、温室効果ガス(GHG)の低減には関係しないものでしょうか? 答えは「否」です。GHG排出量にも大いに関係します。

例えば、資源循環型ビジネスモデルの中で製品寿命を延ばすような設計ができたらどうなるでしょう? 新たな製品を生産するための資源採取頻度や生産活動頻度、廃棄頻度等あらゆるものが抑制されるため、各活動により生じるGHG排出量の低減が期待できます。

同様に、製品回収や部品回収等の仕組みが構築できれば上記の活動によるGHG排出量効果も見込めます。低減効果の大きさは取る手段によって異なりますが、カーボンニュートラル推進の手段の1つとしても資源循環型ビジネスモデル構築は有効です。

出典:江口正芳「グリーンイノベーションコンパス」

以上から、カーボンニュートラル実現に向けた対策と、サーキュラーエコノミー実現に向けた対策とは、それぞれ分けて考えるのではなく、カーボンニュートラル実現の1つの方向性としてサーキュラーエコノミーを捉えることもできます。

日本におけるサーキュラーエコノミーの現状と課題

日本では、2020年に経済産業省が「循環経済ビジョン2020」を策定し、従来の3R活動から資源循環型ビジネスモデルへの転換を推進、制度面・投資面での支援を表明しています。

出典:経済産業省「循環経済ビジョン2020」

日本の各企業でも循環型ビジネスモデルへの転換を模索する動きがあります。具体的な内容は割愛しますが、事業会社として事業性と環境貢献性の両面を兼ね備えたビジネスモデルを構築することは容易ではなく、どのように動き出せば良いのか分からないと言った声も多数挙がっています。

資源循環型ビジネスモデルの創り方

そこで、資源循環型ビジネスモデルの構築方法の概要を紹介したいと思います。構築までのポイントは以下の通りです。

資源循環型ビジネスモデルの構築方法 概要

  • 資源循環型ビジネスモデルを検討する目的や達成指標の明確化
  • サーキュラーエコノミー観点でのビジネスコンセプトの立案と評価
  • ビジネスモデルのステークホルダーの嬉しさや課題の想定

まずはビジネスモデルを検討するメンバーや組織全体で、「サーキュラーエコノミーに取り組む背景・目的」や「取り組みが実現した時の姿(目標)」、「達成状況を評価できる指標」を話し合い、ベクトルを合わせることが重要です。

サーキュラーエコノミーとは概念であるため、個々の解釈によって達成レベルや対象範囲が異なる可能性があります。例えば、3R活動を強化したものであると解釈してしまっていた場合、活動が限定的で従来のビジネスモデルの範疇に留まる到達点となってしまい、本来期待していた効果が得られない可能性があります。

また、理解していたつもりでも、説明しようとすると曖昧な部分、漠然としたイメージとなっている部分があるかもしれません。関係者とすり合わせることで、それらが明確化されていき、活動ベクトルも明確になります。

そして目標や指標、いわゆるKGIやKPIを明らかにした次のステップとして、ビジネスモデルのコンセプトを立案します。

コンセプトを立案する際には、上記のサーキュラーエコノミーダイアグラムを思い浮かべながら[ME4] 、「どのように製品を提供するか」、「どのように製品の寿命を延ばすか(ライフサイクルエクステンション)」、「どのように資源を回収するか」というサーキュラーエコノミー観点の要素を整理すると良いでしょう。

コンセプト立案時点では実現できるか、優れたコンセプトなのかは問わず、いわゆるブレーンストーミング形式での検討で良いと思います。しかし、ある程度考え出せた後は関係者で評価をして、絞り込みを行っていきましょう。評価基準はKGIやKPIを反映させますが、事業性と環境貢献性を意識すると妥当性が高い評価になると思います。

ビジネスモデル評価マップ例

評価した結果、事業性と環境貢献性の両立を見込めるビジネスコンセプトが見つかれば、さらに深掘りをしていきましょう。資源循環型ビジネスモデルの特徴として、従来のリニアエコノミーに比べて関わる関係者(ステークホルダー)が多岐に渡る傾向があります。

ステークホルダーの例としては、製品を製造するメーカー、販売する販社、使用する顧客に加え、製品や部品を回収する業者や、再生を担う業者などが考えられます。ステークホルダー間のモノやサービス、お金と言った流れを併せて考えると、洗い出しが行いやすくなります。

どのようなステークホルダーが想定されて、各ステークホルダーはどのような嬉しさがあるのか、そして現時点ではどのような問題点が存在するのかを洗い出すことができれば、より実現性があるビジネスコンセプトに昇華させることができます。[ME5] 

ステークホルダー要求のアウトプット例

以上が資源循環型ビジネスモデルの構築[ME6] 手法の簡単なご紹介でした。言うのは簡単ですが、実際にやってみようと考えると躓く点も多くあると思います。また、実際にはコンセプトを作ることがゴールではなく、実際に製品・サービスを提供してビジネスを展開していく必要があります。

まとめ

「サーキュラーエコノミー 既存ビジネスモデルとの違いや生み出し方」と題して、ご紹介してまいりました。

我々、電通総研では、今回紹介したような手法の伴走支援や、その他サーキュラーエコノミー実現に関する様々なソリューション提供が可能です。もしご興味がありましたら是非お声がけ下さい。想いに沿った、実現可能な資源循環型ビジネスモデルを共に作っていきましょう!

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