カーボンフットプリント(CFP)の算出方法 4つの算定ステップをご紹介
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近年、企業活動や製品選択において「環境への配慮」は欠かせない要素となり、その中でもカーボンフットプリント(CFP)への注目が高まっています。一方で、「取引先からCFPの開示を求められたが対応できていない」「重要性は理解しているものの、何から始めればよいか分からない」「算定方法が難しそうで手を付けられていない」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
CFPは環境経営やサステナビリティの文脈で頻繁に登場しますが、正確な意味や実務との関係が曖昧なままのケースも少なくありません。さらに、算定方法を調べると専門用語や国際規格が多く、不安を感じてしまうこともあるでしょう。しかし、基本的な考え方と流れを押さえれば、多くの企業が取り組めるテーマです。
本記事では、CFPの基礎から算定の考え方までを分かりやすく解説し、最初の一歩を踏み出すためのヒントをお伝えいたします。
CO2排出量を見える化するCFPの考え方
CFPの算定方法や考え方を体系的に示している国際規格が、ISO 14067です。 ISO 14067では、CFPを「製品システムにおける温室効果ガス(GHG)の排出量および除去量の合計を、CO2換算値として表したもの」と定義しています。
ここで重要なのは、CFPが単なるCO2排出量の集計ではなく、メタンや一酸化二窒素などを含む温室効果ガス全体を、地球温暖化係数を用いて二酸化炭素換算で評価する点です。
ISO 14067では、CFPはライフサイクル視点に基づいて算定されることが明確に示されています。製品のライフサイクルには、原材料の採取や調達、製造、輸送、使用、廃棄・リサイクルといった複数の段階が含まれます。CFPは、各段階で発生するGHG排出量および除去量を合算することで、製品全体としてのGHG排出量を把握する考え方です。
カーボンフットプリント=CFP(Carbon Footprint of Productsの略)とは実施する目的に応じて、特定のプロセスやライフサイクル段階のみを対象にGHG排出量を算定する手法です。算定範囲を考える上で欠かせない概念が、システム境界です。CFP算定の際に「どこからどこまでを評価対象とするのか」を明確に定義することを求めています。
たとえば、原材料調達から製品出荷までを対象とする場合もあれば、使用段階や廃棄段階まで含めるケースもあります。どの範囲を対象とするかによって、算定されるCO2排出量は大きく変わるため、システム境界は極めて重要です。
CFP算定においては透明性と一貫性が重視されています。算定方法や前提条件、データの範囲が不明確なままでは、CFPの数値は比較や改善に活かすことができません。そのため、算定範囲や前提条件を明示し、後から見ても理解できる形で整理することが重要です。
このように、CFPの考え方は「CO2排出量を数値化すること」そのものが目的ではなく、ライフサイクル全体を通じて排出構造を把握し、削減の可能性を見出すための基盤として位置付けられています。まずはCFPの基本的な考え方と算定範囲を正しく理解することが、次のステップである具体的な算定や削減施策の検討につながります。
CFPの算定方法と取り組みのポイント
CFPの算定は「4つのフェーズ(目的と範囲設定→インベントリ分析→環境影響評価→結果の解釈)」に沿って、CFP算定をステップ別に整理し、それぞれの取組みポイントをまとめます。

Step1:目的と範囲設定

最初のステップは「何のために算定するのか」を明確にすることです。たとえば、社内の改善活動に使うのか、取引先への説明に使うのか、将来的な比較の土台を作りたいのかで、必要な精度・境界・データの集め方が変わります。算定する目的から、原材料調達から設計・製造、輸送、使用、廃棄・リサイクルのどこまでを算定するか定めます。
次に、算定結果を「どの単位で表すか」を決めます。ここが曖昧だと、改善前後や製品間の比較・説明も難しくなります。取り組みポイントは次の通りです。
妥当な機能単位(または宣言単位)の設定:製品価値を正しく表す単位を設定します。(例:1個ではなく「1回使用あたり」「一定性能あたり」が適切な場合もあります。)
カットオフの方針検討:重要な排出源を落とさないようにします。(除外しすぎると改善の打ち手が見えなくなる)
なお、関連するPCR(製品別算定ルール)や業界団体が公表するCFPガイドラインがある場合は採用し、複数候補がある場合は境界・配分・データ品質などの観点で妥当性を確認して、採用理由を説明できるようにします。
Step2:インベントリ分析(データ収集・整理)
目的と範囲を決めたら、対象範囲の各工程について、活動量データ(電力使用量、燃料、原材料投入量、輸送距離、廃棄量など)を集め、機能単位に紐づけて整理します。
ここで重要なのがデータの種類と品質管理です。直接測定や直接測定に基づく計算で得られる一次データと、データベース・文献・代表値などの二次データを区別します。取り組みポイントは次の通りです。
ホットスポットほど一次データを優先:排出寄与の大きい工程ほど、現場計測やサプライヤー提供値など一次データの比率を高めると、削減施策の効果検証が可能になります。
データの妥当性チェックを仕組みにする:単位の混在、期間ズレ、範囲外データ混入、二重計上を防ぐため、入力チェック項目と責任者を明確にします。
配分のルールを決める:共通設備や副産物がある場合、どの基準で分けるかを定義します。
二重計上を避ける:規格は二重計上の回避を原則としているため、集計範囲が重複しないよう、境界とデータ帰属を図示します。
Step3:環境影響評価(排出量の算定)

CFPでGHG排出量を求める一般的な方法は、「活動量」×「排出原単位」です。収集した活動量に、活動量当たりのGHG排出量を表す係数(排出原単位)を乗じGHG排出量を算定します。取り組みポイントは以下の通りです。
前提条件の明示:どの係数(IPCCのどの評価報告書、シナリオなど)を採用したかを明確にし、継続算定でも同一前提を維持します。
論点が出やすい箇所の整理:電力の扱い、バイオ由来炭素など、製品特性によって解釈が分かれやすい点は、目的・範囲の段階で社内合意しておくと後工程がスムーズになります。
Step4:結果の解釈
最後に、算定結果が当初の目的・範囲に照らして妥当かを評価し、結論や改善示唆をまとめます。ISO 14067は透明性を重視しており、前提・方法・データソースを適切に参照し、推定は明確に説明することを求めています。
さらに、結果のばらつき(不確実性)には、排出原単位や活動量の不確実性、使用したシナリオなどの不確実性が含まれることが示されています。取り組みポイントは次の通りです。
主要仮定の感度確認:重要な仮定を変えた場合に結論が変わるかを点検します。
改善サイクルに落とす:ホットスポットに対して「データ改善→施策→再算定」を回し、継続的にパフォーマンスを追える状態を作ります。
このように、ISO 14067の枠組みに沿って「目的・範囲を固める→データを整える→CO2に換算する→解釈して改善へつなぐ」という流れを踏むことで、算定が“作業”で終わらず、CO2排出量削減に直結する意思決定ツールとしてCFPを活用できるようになります。
まとめ
「カーボンフットプリント(CFP)の算出方法 4つの算定ステップをご紹介」と題して、CFPの基本概念からISO 14067に基づく算定プロセス、実務上のポイントまでを解説してきました。CFPは単なるCO2排出量の算定ではなく、ライフサイクル全体を通じて排出構造を把握し、削減につなげるための重要な手法です。
本記事が、算定への不安を解消し、最初の一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。CFPへの理解を深め、持続可能な経営に向けた具体的な行動につなげていきましょう。
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